「おにようず」の萩・見島。海が荒れ島に封じられ、2人の青年と思わぬ冒険が始まった!
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、日本海の萩(はぎ)沖に浮かぶ孤島、見島(みしま)について取り上げたいと思います。見島はあまり知られていない離島ですが、実際に行くと魅力に満ちた島で、おまけに色々と面白い経験もできました。
◾️世界文化遺産、萩の街をプチ観光してみた。
見島は日本海に浮かぶ離島の一つ。そして山口県、萩市に所属しています。
萩と言えば、幕末に活躍した長州藩の中心地です!
少し前に、「明治維新の史跡関連」で、萩市街が世界文化遺産に登録されました。
由緒正しい街なので、これは見所が多そう。
というわけで、見島に行く前に、早朝少しばかり萩観光をしてみました!
こちらは萩城。中には入らず、外から撮影。
萩城の近くにある、志都岐山(しずきやま)神社の入り口。
こちらは、「女台場」という風変わりな名前の丘。なんと人工だそうです。
幕末に、列強の攻撃に対する防御として、主に武家の女性が中心になって築いたそうです。だから女台場。「花燃ゆ」でも登場してました。
今でも残っているくらいに堅固な造りになっています。昔の人は根性あったのだなーと感じました。
◾️「おにようず」で見島へ!
見島へと向かうには、こちらの定期船乗り場から。阿武川の河口にあります。
萩へと行くには、こちらの「おにようず」という高速船で! デザインが洒落ています。
「おにようず」とは奇妙な名前ですが、見島の伝統的な凧を指します。この写真に写っているのが、まさにおにようず。恐ろしい顔ですが、子どもが丈夫に育つことを願い、魔除けの意味があるそうです。
おにようずについては、また後々記事に登場してもらいます!
天気は悪く、海はご覧のように時化ていました。果たして出航するか怪しいなーと思っていたのですが、無事に出航してくれました。
座席の前のカゴには、ずらりとエチケット袋が。これが何を意味するのか、思い知ることになります。
めちゃくちゃ、揺れました!! 何かのアトラクションかと思うほどに。八重山の波照間航路もジェットコースターのように揺れるので有名ですが、それを思い返しました。
酔い止め薬を事前に飲んでいたのでセーフでしたが、そうでなければ逝っていたことでしょう。
◾️島には着いたが、帰りの便がない!
凄まじい航海の末に45キロ離れた見島へと無事に到着しました。しかし、ここで思わぬ事態が!
それは、帰りの船が欠航になってしまったということ。行く前は、何も知らされてなかったんですよー。突然の決定だったそうで。
帰りの船はなくなったので、見島に封じられてしまったのです。
元々日帰りの予定だったので、これはまずい。さらにまずいことに、見島は工事業者の方々で宿が満杯だったんです。つまり、野宿でもしないといけないのか。正直、覚悟しました。
しかし、ここで思わぬ救世主が。
見かねた島の婦人や駐在の警官の方の手配により、なんと「見島ふれあい交流センター」に泊めていただけることになったのです。こんな感じで、島の人たちの優しさには、いつも助けられています。
ホント島では良い思いしかしたことないなー、基本。
こちらです。広々とした和室で、とても快適な施設でした。そして宿泊料金は格安。なんだか、逆に得したような気分になりました。
そしてさらに面白いことが起きたのは、一緒に見島に封じられた連れができたこと。上の写真に後ろ姿で写り込んでいるお二人です。あとで判明したのですが、NHK山口の職員の方だそうで。休日の遊びとネタ探しを兼ねて見島へとやって来られたそうです。
◾️グルメの島、見島
見島は知名度はないのですが、グルメの島なんです。私はもちろん口にしませんでしたが、見島牛というブランド牛があります。
人口も少ない島なので、島の食事処はたった二つ。一つは「八里ヶ瀬」という刺身定食や見島牛が食べられる店。
もう一つは、ボリューム満点の家庭的な料理が安価に食べられる、「ひまわり」というスナック。二つは対照的なお店ですが、どちらもおすすめです。
また見島は離島には珍しく、米作りが盛んです。ご覧のように、美しい田園風景が広がっています。
米作りには大量の水が必要ですが、見島には巨大な「見島ダム」があるので、大丈夫なんです。
写真を撮影してセンターに持っていくと、記念にカードがもらえるおまけ付き。
◾️3人で見島観光をする
先ほど説明したNHKの職員の方と、レンタサイクルを借りて見島観光をスタートしました。
私は普段一人で島内観光をすることが普通なので、同行者がいるのはとても新鮮で楽しめました。
ひっそりと佇む神社の鳥居を見に行ったり。
見島牛を見に行ったり。これがステーキになると思うと、本土に連れて帰りたいくらいだなー。というのは、冗談で。
島の人に頼んで、ミニ「おにようず」を見せてもらったり。
NHKの方は、昔のあわび取り海女さんの話を念入りに掘り出したり、後々取材させてもらうかもみたいな話を持ちかけていました。オフでも情報収集に余念がないのだなあと、プロ精神を垣間見た気がしました・・・笑
ちなみに「おにようず」は交流センターにも掲げられていました。見島のシンボル的存在であることが、つくづくと伝わってきます。「鬼ヨーズ」とも書くらしいです。まさに鬼。
◾️宇津山観音寺正観音
見島の中でひときわ印象に残ったスポットは、こちらの「宇津山観音寺正観音」。
正観音に行く道すがら連続する鳥居に遭遇。なんだか伏見稲荷を彷彿とさせるスポット。
まさか離島で遭遇すると思わなかったので、かなり驚きました。どことなく神秘的な雰囲気を漂わせています。
こちらが、正観音本殿。赤瓦の建物と、打ち寄せる日本海の荒波と断崖の取り合わせが、あまりにもショッキングでした。
本殿の向かい側には、剥き出しの赤茶けた断崖が。迫力満点でした。
そして断崖には、白い波が打ち寄せては砕ける。カメラにまでかかるほどで、服ももちろんびしょ濡れです。
◾️見島北灯台
そしてこちらが、見島の最北端にある、見島北灯台。
見島は国境離島(日本の境界にある離島)であり、この先にはもう島はありません。国境離島なので、国防のために自衛隊の基地が設けられています。
見渡す限り、日本海が広がるばかりです。余談ですが、日本海って渋いですよね。太平洋とは明らかに雰囲気が違います。この違いはなぜ生まれるのかなーとよく思っていますが、未だに謎のままです。
見島は道が複雑に入り組んでいて、集落に帰る間際、どう間違えたのか山道に入り込んでしまいました・・・笑
しかしその結果、集落が見渡せる素敵なスポットに行き着きました。旅って意外性が大事だよね、と思い知るのが見島の旅のテーマだったような気もしました。
◾️島の先生も囲んで飲み会
夜は、フェリー欠航組と、そして赴任したばかりの若い先生も偶然知り合ったので、四人でプチ飲み会をしました。
離島の先生ってよく小説のテーマにもなったりして、色々と憧れるイメージがありますが、実際は狭い人間関係に悩まされたり、本土にめったに帰れなかったりして大変だそうです。数年は赴任しないといけないらしいので、本当にお疲れ様としか良いようがありません。私だったら、多分できません。
高速船が止まり、島に封じ込められ、どうなることかと思いましたが、ふたを開けてみればとても楽しい旅になりました。むしろ海が荒れたことに感謝したいくらい。フェリーが欠航しない限り、絶対に発生しなかった人との出会いもありました。
そういう訳で、読者の皆様もアクシデントも万事塞翁が馬だと思い、島旅を楽しんでいただけたらなーと思いました。見島はおすすめですので、是非とも行ってみて下さい。
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