城山(タッチュー)と米軍基地がシンボル!戦争の記憶が残る伊江島を訪れる。
こんにちは、ドクターリトーです。
今回の記事では、沖縄本島のすぐそばに浮かぶ離島、伊江島(いえじま)について扱いたいと思います。
◾️伊江島へ向かう
伊江島は、沖縄本島中部沖合に浮かぶ島。本部(もとぶ)港からフェリーにて30分で行けます。
本島から近い離島なので、比較的身近な存在なのが伊江島。しかし私はこれまで訪れる機会がなぜかなく、先日はじめて行くことができました。「近いと意外と行かないの法則」ですかね。
船の中には、こんなポスターが!! なんと、伊江島を舞台にしたゲームがアプリで出来たのだとか。
これは必見です。私もとりあえず落としてみましたが、面白そうでした。長くなりそうだったので、結局プレイをすることはなかったのですが。
後ほどご紹介しますが、伊江島の中央には「城山(タッチュー)」と呼ばれる小高い山がそびえており、島としての見た目のキャラも際立っています。
遠くから眺めた島影は、現実に存在する離島というよりはまるでファンタジー世界の島のような有様なので、まさにゲームの舞台としてふさわしいと言えると思います。ゲームの製作者もそういうところから着想を得たのだと推測します、きっと。
◾️伊江島上陸
船に乗って間も無く、島が見えてきました!
伊江島は、それくらい沖縄本島からほど近い距離に浮かんでいるのです。
遠目からでも目立つのは、伊江島の中央にそびえる城山。これこそが「タッチュー」!
「塔頭」がなまったのが「タッチュー」でしょうか??
山の一部だけが異様に高くなっている見た目は、山というよりむしろ「塔」と表現した方がふさわしい感じです。そういう意味でも絶妙なネーミングセンスかと感じます。
伊江島に他に山はないので、さらに目立ちますね。夢の世界、おとぎ話の世界を思わせる風貌です。
港すぐそばにまでやってきました!
近寄ってみると、ファンタジックなタッチューの地形がさらにはっきりと見えるように。
この見た目だけとっても、島で一体何が待ち受けているのか、わくわくとしてきました。
◾️島内風景
島の周囲には、離島離れしたしっかりとした道が敷設されていました。こういう道は、離島では結構珍しいです。離島の道とうものは、一般的には細く、車が通るのも一苦労するようなものが大半ですから。
それは伊江島が本島から近い上に、規模の大きな離島だからでしょう。面積22平方キロ、人口4000人です。伊江島、なかなかの規模を持っています。
もしくは戦争で一度破壊し尽くされた島なので、新しく区画整理がしやすかったからかもしれませんが。後ほど紹介しますが、伊江島は太平洋戦争において激戦の舞台となった島なのです。
さらに衝撃を受けたのは、こちらのファミリーマート。
離島にて、イオンやローソンなど、大手資本の小売店を目にする機会はまずありません。
その地域にしかないコンビニか、もしくは共同売店があるのが普通です。大手資本にとっては、人口も少なく流通も手間のかかる離島地域に敢えて手を出すメリットはないということでしょう。
伊江島が沖縄本島から身近な存在であることの証左でしょう。
◾️イエジマレンジ、米軍海兵隊施設
さっそく原付を借りて島内探検を始めた訳ですが、港からしばらく西の方へと進むと、ご覧のような鉄柵に行き着きました。
こちらは、イエジマレンジという施設。米軍の海兵隊が現在利用しています。
伊江島は第二次世界大戦時に、日本軍の基地が設けられ、沖縄戦の中でも激しい戦いが行われた場所です。
離島の中では最大級の壮絶な戦いだったそうですが。渡嘉敷島とかも凄かったらしいですが。
この柵の奥には、謎の真っ白い鳥居が。これは戦没者を慰霊するためのものでしょうか。
伊江島のかなりの面積が、米軍の施設に現在でも使われています。沖縄戦の傷跡は、未だに癒えていないことをまざまざと見せつけられる思いです。
日の丸と星条旗が仲良く並んでいる光景を目にしました。
かつては戦火を交えた両国も、今では友好関係にあるということですね。・・・友好関係というか、従属関係ですが。
この旗については皮肉な印象を受けました。
日本が実質的には未だにアメリカの占領地であることを実感せずにはいられません。現在はまだまだ形だけの独立国。いつか真の日本の独立が成る日はやってくるのでしょうか。すぐには難しいかもしれませんが、成し遂げねばなりません・・・。
◾️ニヤティア洞窟
こちらは、ニヤティア洞。伊江島の南西部にあります。
こちらは、島のメインスポットの一つ。伊江島に来れば、必ず訪れるべきスポットかと思います。というか、来ない人はまずいないでしょうから、言うまでもないですね・・・笑
階段を降りた先に待ち受けているのは、こちらのだだっ広い洞窟。まるでファンタジーの世界のような光景。
繰り返しになりますが、やはりこの島はゲームの舞台には最適であるように感じました。だって、思わせぶりな地形とかスポットに満ちていますもん。
天井からはポツポツと水滴が滴り、静かな、厳かな空気が空間中に満ちています。聖地と言われても、納得のいく厳かな雰囲気です。
意味ありげな石。賽銭が大量に散らばっていました。なんだかゾクゾクしますね。
こちらは、ビジル石。子宝に恵まれない女性が持ち上げると、子供ができるという言い伝えがあります。
このニラティア洞にも、戦時中は島民の方々が多数身を隠していたと言います。直接攻撃されることはなかったようですが、犠牲者も出たそうです。
霊感の強い人は、未だに何か感じるものがあるそうですが、霊感とは無縁の私は何も感じることもなく、静かな聖地として心地よいスポットとして印象に残りました。
◾️湧出(ワジー)
ニラティア洞の次は、湧出(ワジー)というスポット。なぜ「湧出」というのがと言えば、文字通り水が湧くからだそうです。実際に清水が湧くところは目にすることはできませんでしたが。
こちらは、湧出の展望台から眺めた光景。台風直後のいかにも荒々しい波が打ち寄せています。
湧出のすぐ上には断崖が続いています。とても雄大な光景です。
この向こうには島もなく、ひたすら大海が広がるばかり。
この大海の向こう側には、琉球の来世、ニライカナイがあったりするのでしょうか? そんなことを少し思いました。
展望台を降り、湧出の目の前にやってきました。水資源を確保するのが困難な離島においては、こういう水スポットは非常に重要視され、今でも大切に扱われてたりします。
そういう意味でも、是非とも足をはこんでいただきたい場所です。伊江島のソウル・スポットだと言えるでしょう。
◾️城山(タッチュー)
最後にご案内したいスポットは、こちらの城山(タッチュー)。
最初に触れた、島の遥か遠くからでも目を引く絶景スポットです。この島のシンボルに登らない手はありません。
さっそく意気揚々と向かおうとしたのですが・・・、台風にて樹が道に勢いよく倒れ込んでいて、見事に階段がふさがれていました。別の道から登る必要がありそうです。
気を取り直して、東側の登山道から登山。
タッチューは200メートルほどの山なので、登るのにたいして苦痛はないです。ただ階段はかなり急なので、普段運動しない人にとっては大変かも知れません。歩きやすい靴を履いて登ってくださいねー。
ようやく登りきった先に待っていたのは、伊江島全体が360度見渡せる雄大な風景!! これはすごいです。
伊江島は、本当にこのタッチューだけが展望台のように切り立っていて、他は真っ平らであることがよくわかります。こんな特異な地形、そうあるものでもありません。
平地には一面農地及び家屋が広がっています。
山頂には風が吹き渡っていて、とても気持ちいい!! この景色を眺めるためだけでも、この島にやってくる甲斐は十分あると言えそうです。
伊江島の全てが見渡せるこの場所にいると、島を支配しているような不思議な錯覚を覚えます。お城の天守閣から景色を眺めるのと似ているかな。
今度は麓から。振り返りタッチュー。迫力満点。
この浮世離れしたタッチューの光景は、何度眺めても素晴らしく、クセになってしまいそうです。タッチューを眺め、登るためだけにでも再び伊江島を訪れたいです。
◾️ついでにすぐ隣の瀬底島にも行ってみた
こうして伊江島散策も終えて本島に帰ってきたのですが、港のすぐ近くに架橋された瀬底(せそこ)島があるので、とにかく歩いて行ってみました。
1985年に架橋されたのがこちらの瀬底大橋。前兆762メートルで、当時は沖縄県最長の橋だったそうです。
エメラルドブルーの海が非常に映えます。
こちらは、橋を渡った先にあるアンチ浜。近年では瀬底島はリゾート地として活気を呈しているようです。
橋が架かると島の様子が変わる好例の一つかと思います。海で本島と隔てられた伊江島は、まったくリゾート化はされていないので。
伊江島と瀬底島。比べてみると面白いかも知れません。
対岸からでも、タッチューはよく見えます。こんな変な形状の離島、他にないだろうな。
伊江島の魅力。それはやはり第一に、シンボル・タッチュー。そして第二次世界大戦とその後の歴史。
比較的メジャーな離島ですが、是非とも足を伸ばしてみてください。私も戦争の歴史資料館だったり、まだ行けていないスポットもあるので、また行ってみたいです。
離島ナビ