ジオスポット,  山間の秘境

犠牲の果てに築かれた「くろよん」黒部ダム。毎秒10トン以上の放出水が圧巻。

こんにちは。今回の記事では富山県の秘境、「黒部ダム」について。有名ですので通りがかりに思い付きで寄ってみたのですが、想像以上に感動的な秘境でした。一通り見て回っただけなので詳しい事までは書けませんが、御愉しみ程度に御覧ください。

 

■黒部ダムへ行く

 

 

黒部ダムは、標高1500メートルの高さにあります。秋ごろでも早朝に訪れるとひんやりとして寒くなる程です。

 

直接車で訪れる事はできません。珍しい「電気バス」に乗って向かいます。電気バスは排気ガスを出さないエコロジカルな乗り物なので、環境保全が大切な黒部には相応しい乗り物でしょう。

 

 

黒部ダムへの旅は、「扇沢駅」からスタート。

 

登山服を着た人達も多いですが、黒部にはダムのみならず「立山黒部アルペンルート」という山登りが出来るコースもあります。歩いてみたら爽快なのでしょうが、私は時間の都合上ダムだけです。また何時か歩いてみたいかなあ。

 

 

電気バスの前は、トンネルトロリーバスというバスが長年活躍していたそうです。見た目もレトロで、こちらもちょっと乗ってみたくなりました。

 

 

電気バスは長いトンネルを走り、「黒部ダム駅」を目指します。黒部ダムの歴史などについて映像で教えてくれるのですが、「くろよん」についても触れられていました。

 

「くろよん」とは、「黒部ダム第四発電所」の略。これはとても歴史的なスポットで、黒部ダムに込められた血と汗の物語でもあります。

 

戦後の高度経済成長期、関西圏は深刻な電力不足に悩まされるようになりました。そこで黒部にダムを造り水力発電を行う事が計画されたのですが、その工事は至難を極めたようです。トンネルでも目にしたのですが、物資の輸送のためにトンネル掘削が必要とされました。掘削の際に、豊富な地下水と大量の土砂が吹き出す「破砕帯(はさいたい)」に遭遇。これを越えてトンネルを掘り進むのは至難の業で、一時は開通が絶望されたそうです。それでも技術者たちの熱い思いで乗り越え、トンネルは遂に開通したそうです。

 

「くろよん」建設に当たって、なんと171人もが殉職されたそうなので、それだけでもどれ程厳しい工事であったか伝わるようです。

私も関西圏には所縁が深いので、人知れずにお世話になってきたという事です。ご冥福をお祈りしておきました。

 

■ダムへの道。220段

 

 

バスは駅に到着し、お次に待ち構えていたのは220段の階段。ここを登りきると、いよいよ黒部ダム。後もう少しですので、頑張って登っていきます。

 

■圧倒的な流量! 黒部ダム

 

 

そしてようやくたどり着いたは、黒部ダム。見てください。圧倒的な放水を。

 

 

とてもゆっくりと流れ落ちているように見えますが、それは放水量が莫大だからです。毎秒10トンというから驚くばかり。

 

毎秒ですよ。僅か一分で600トンもの水が放出される訳です。あまりに壮大な光景なので、しばらく見とれてしまいました。まさに絶景です。

 

 

 

 

大量放出口の上部は歩くことすらできます新鮮な空気が満ちる、実に清々しい小道。

 

 

小道から眺めると、更に大迫力パノラマの大滝が目に出来ます。ここに飛び込んだら、大変な事になるのだろうなあ。

物理的には十分に可能なので、緊迫感がありました。レミゼラブルでジャベール警部がセーヌ川に入水したところを想像しました。

 

 

小道の向こうにも、城塞を思わせるダム関連の施設が。その先にそびえる岩山も何とも言えない趣があります。ただのダムというだけでなく、とても景色の美しいスポットである事を実感しました。

 

 

 

ダムの一角には、黒部ダムの歴史を詳しく学べる施設も用意されていました。前半でふれた「くろよん」関連です。

 

 

黒部ダム建設を題材にした「黒部の太陽」という映画も作られたよう。伝説の石原裕次郎主演です。面白そうだし、機会が得られれば観てみたいなあ。

 

 

一時の夢時間を経て、再び扇沢に引き返します。本当に良い所です。黒部ダム。

 

 

車で黒部を去りがてら、猿の群れも見かけました。写真には収めませんでしたが、鹿や大型の野犬(?)などにも遭遇。野生生物も数多く暮らしているところです。

 

大自然と、人間の血と汗の滲んだダムの歴史。両方に触れる事のできる黒部を訪れてみてはいかがでしょうか。

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