妊婦を集めて跳ばせた「久部良バリ」人頭税が生んだ悲劇?:与那国島
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、与那国島の久部良バリについて特集したいと思います。
【与那国島】
《アクセス》石垣空港から飛行機で数十分。または石垣港からフェリーで4時間(週2便)。
《宿泊》民宿多数あり。私は素泊まりの「おじいの宿」に泊まりました。
《食事》スーパー、食堂、居酒屋多数。
◾️妊婦を飛ばせて人口調整?
久部良バリとは、与那国島の西端にある集落である久部良にある裂け目です。
こんなところです。二つの岩の間に、深淵が広がっています。
なぜここが有名になっているかというと、琉球王国時代に、ここで妊婦を集めて跳ばせたという伝説が残っているからです。
ちょっと信じられない話ですが、琉球王国時代、先島と呼ばれる宮古・八重山の島々にだけ厳しい人頭税が課せられていました。琉球王国は薩摩の支配を受けており、薩摩への貢物の負担を先島の島々に押し付けたのでした。
人頭税は体が弱い人にも課され、人口分だけ課されたので、人口が増えるとその分税も比例して増えます。それを防ぐために身ごもった妊婦を跳ばせたという伝説が残っているのです。
・・・・本当かどうかは分かりません。後世の創作かも。
しかし妊婦というより、私のような成人男子が跳んでも普通に大怪我しそうな感じです。本当に妊婦を跳ばせたとしたら、狂気の沙汰でしょう。
面白いのは、久部良バリに「跳ばないでください」という標識がないこと。
度胸試しに跳んで大変な目に合う観光客とか、死亡事故が起きてもおかしくなさそうですが、そんなことは過去になかったのでしょうか。「久部良バリを跳んでみました!」とかいう動画、YouTubeに上がったりもしていませんし。皆、良識的です・・・笑
◾️八重山の島々を苦しめた、「人頭税」
しかし、八重山諸島が長年、琉球王国の圧政、厳しい人頭税に苦しめられてきたことは事実です。与那国には、ハイドナン伝説という伝説があり、与那国島の南に苦しみのない楽園があるというものです。これは同じく八重山諸島の、波照間島のパイパティローマ伝説と通じるものがあります。
八重山の人々は、人頭税のない楽園を求め続けたのでした。人頭税は明治になってからも続き、ようやく廃止されたのは明治の末、20世紀のことでした。
◾️日本最後の夕日が見える丘
久部良バリの近くには、こんなスポットも。「日本最後の夕日が見える丘」。
与那国島は日本の西の端にあるので、夕日が落ちるのも日本で最後。そしてその夕日は水平線ではなく、さらに西にある台湾の山並みに落ちます。
与那国島の久部良バリ。是非訪れて、厳しい人頭税の歴史を体感してみてください。