カスドースに鄭成功の誕生の地。南蛮貿易の歴史深い平戸島を散策してみた。
こんにちは、ドクターリトーです。
今回の記事では、南蛮貿易の歴史の深い平戸島(ひらどしま)について扱いたいと思います。
⬛️平戸島とは?
http://www16.plala.or.jp/yasu310/hirado/newpage49.htmlnbsp;
平戸島は南蛮貿易などで日本史では必ず触れられるので結構有名だと思いますが、まずおおまかに概観しておきたいと思います。
平戸島は、長崎県に属する島です。現在は全域が平戸市に属しています。
ちなみに架橋されているので、「離」島ではありません。
面積は163平方キロ。日本の島では20番目に大きいので、相当な広さです。ちなみに人口は約二万人。とても島とは思えない規模感ですね!
安土桃山時代の1550年にポルトガル船が来航したことをきっかけに南蛮貿易の拠点になり、その後イギリスも入り込み、おおいに栄えました。しかし江戸幕府が鎖国政策を取り始め、貿易拠点が出島に限られるようになると、南蛮貿易は終了してしまいました。しかしその歴史があって、いまでもエキゾチックな情緒が漂う不思議な雰囲気の島となっています。
⬛️世界遺産の島!?
さっそくの棚田の写真に驚かれた方もいるでしょうが、こちらは平戸島の春日集落の光景です。
これが日本!?と思わせるような壮大な景色ですよね。まるでフィリピンとか東南アジアの集落を彷彿とさせます。
さらに驚くべきことに、実はこの春日集落は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録されている立派な世界遺産なのです!
潜伏キリシタン関連の史跡なのですが、散策していてもはっきりとした遺跡などは見かけないので、あまりピンときません。
世界遺産登録の審議会にしたら、この棚田の光景がアジア的で物珍しかったのでしょうか。なぜここが潜伏キリシタン関連史跡として特別に選定されたのかがいまいちよく見えませんでした。
しかしながら「世界遺産の棚田」として、一見の価値あると思います。是非とも足を運んでみてください。
⬛️平戸オランダ商館
平戸島はかなりの大きさがありますが、市街地として繁栄しているのは島の北端のごく一部のエリアです。
平戸観光のメインとなる場所でもあります。
とりあえずまず行くべきは、こちらの「平戸オランダ商館」でしょうか。
ここにはかつて、南蛮貿易に使われたオランダ商館が実際にありました。復元ですが、当時の気分を味わうことができます。
船の模型や西洋の鎧兜が展示されています。こちらはコロンブスのサンタマリア号かな。
⬛️松浦資料博物館
平戸と言えば、倭寇で有名な「松浦氏」の発祥地でもあります。「松浦党」といって、かつては海賊稼業などにも勤しんでいました。その資料館がありました。
江戸時代は松浦氏は平戸藩主でしたので、優美な宝物が多く展示されていました。
松浦氏の優美な文化に触れてみたい方には、お勧めしたいスポットかも知れません。
かと思うと、江戸時代のキリシタン弾圧の(とても残酷な)イラストも展示されてあったりと、ギャップも楽しいところです。ちなみにこちらのイラストは日本人ではなく、西洋人の描いたものらしいです。
打ち首を並べているあたりが、恐ろしい限りです。まるで魔女狩りかなにかのよう。
⬛️平戸銘菓、カスドース!
いきなりお菓子のどアップ写真をあげてみましたが、こちらは平戸銘菓の「カスドース」です。
長崎名物といえばカステラじゃないかと思われる方が多いと思いますが、カスドースはカステラと似ていますが別物です。
カステラにさらに卵黄でからめ、糖蜜で揚げたものがカスドース。だから余計に色が濃く、そしてとても甘いです。
カステラの進化系と言えるかも知れません・・・笑
平戸市街を歩いていると、カスドースの看板をちらほら見かけます。
NHKのひるブラで取り上げられたこともあるようです。本当に伝統的なお菓子なんですねー。
めちゃくちゃ甘く、そしてとてもレトロな味わいというか、印象的な味わいです。是非食べてみてください。
⬛️素敵な教会の多い島
南蛮貿易の拠点だけあって平戸はかつてはキリシタンの多い土地でした。それだけあって、魅力的な教会が多くあるのも平戸島の特徴です。
こちらは「寺院と教会の見える風景」というスポット。寺院の向こうに教会が聳えている、いかにも長崎らしい風景です。
教会の名前は「平戸ザビエル記念教会」。1931年創建だそう。
平戸市街を離れたところにも、美麗な教会が点在しています。こちらは紐差集落にある「紐差教会」
個人的には、平戸で一番美しい教会だと思いました。全体が純白で、なんというか非常に品があります。
こんなところで結婚式あげたら、さぞ楽しそうですねー。
こちらはまた別の趣のある教会。宝亀教会という教会です。赤茶色の重厚感のある教会です。
他にも平戸島には数多くの教会があるらしいので、時間がある人は一つ一つ見ていくのも良いかも知れません。
⬛️意外?「国姓爺合戦」鄭成功の出身地でもある
「鄭成功(ていせいこう)」という人物をご存知でしょうか!?
世界史に造詣の深い人なら知っていると思いますが、中国の清王朝の明への侵略に抗して、台湾で最後まで明を守るべく戦った人物で、台湾では今でも英雄視されているそうです。
日本では彼の活躍を題材にした「国姓爺合戦」という浄瑠璃が江戸時代に人気を博したとか。
判官贔屓の日本人がいかにも好みそうな話ですもんね。
鄭成功はいかにも中国風の名前ですが、実は母は日本人だったそうです。父は中国の商人だっそうなのでつまりハーフということ。これは私も知らなかったので意外でした。当時国際都市であった平戸ならではの話だとも思います。出生したのも平戸だったそうです。
東アジアで国際的に活躍した人物が日本にゆかりが深かったとは、とても誇らしい話ではないでしょうか。
成功と「成功(success)」をかけた「成功への道」という表記があり、なんだか笑えました。
こんな一風変わったスポットもありました。鄭成功がここで生まれたというスポットですかね。
⬛️長泉寺、鯨の供養塔
平戸島は南北に長い島。私は南端に近い宿に泊まったので、島の南側も少し回ったのですが、南側は人も少なく本当にひっそりとしています。
しかしながら歴史は深いので、見るべきところはあります。印象的だったのはこちらの「鯨の供養塔」でした。長泉寺というお寺の境内に設けられています。
平戸はかつて捕鯨が盛んな地域だったらしく『元禄5年(1692)、小値賀島の小田組が捕鯨の基地を定めてから、安政の開港ごろ(1859)、捕鯨の休止まで167年間、鯨組で繁昌していた』(長崎県の文化財、より)そうです。
平戸の人々の、鯨への思いやりが伝わってくる感じがします。日本人はここだけではなく、まるで鯨を人のように扱っていますよね。捕鯨といっても、たんに鯨を「物」として利用しているのではなく、人格物としてみなしているようです。
動物たちを工業製品のように扱いがちな現代においても、見習うべき心性ではないかなーと、私なんかは思ったりします。
平戸島は広い島なので、他にも見所は数多くあります。私自身も全てを見て回ることはできなかったのでこのあたりで紹介を終わりますが、是非ともご自身で歩き回ってみてくださいね。
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