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世界遺産になりそこねた?カクレキリシタン信仰の残る生月島。車のCMの舞台。

こんにちは、ドクターリトーです!

今回の記事では、長崎県平戸市に所属する生月島(いきつきしま)について取り上げたいと思います。色々とネタの多い島なので、楽しみにしてくださいね!

 

⬛️生月島

 

Wikipediaより

生月島は、平戸島のそのまた先にある小島です。

面積約16平方キロなのでそこまで小さくもないですが、平戸島(163平方キロ)に比べると約十分の一です。

島の向こう側にある島なので、二つの橋を越えていかねばなりません。

平戸島と生月島は繋がっているんです。架橋されているので「離」島ではありませんね。

 

 

水色のこんな洒落た橋(生月大橋)を使って生月島に入島します。生月島に入るのは、ここを通るしかありません。

 

⬛️車のCMで使われる島

 

 

こちらは、生月島の西側につらなる「生月島サンセットウェイ」と呼ばれる道路です。

生月島は日本本土の西端に位置していることもあり、美しい夕日が見られることが由来ですが、実はこの道路は見栄えがよく景色も雄大なので、車メーカー各社のCM撮影場として頻繁に使われているのです。

 

 

道もそれなりに直線で、周囲には建物も一切なし。したがって人通りもなし。

こういう道路って、ありそうであまりないかも。確かに車のCM撮影にはうってつけかも知れません。それにしてもよく発見しましたねー。

 

 

 

サンセットウェイの山側には、まるで中国奥地を思わせるような険しい岸壁が聳えています。この景色は、見ていて本当に飽きません。

 

http://ikitsuki-sunsetway.com/

 

こちらは実際に使われている画像。ホンダのフィットですね。

奥側に生月大橋が見えるので、確かにサンセットウェイです。

 

https://minkara.carview.co.jp/userid/2675155/blog/38966974/

 

こういうのもありました。本当にサンセットウェイは各社の御用達ロードになっているようです。もちろん普段は普通車が通行可能ですので、是非ともドライブしてみてください。

 

 

ロードバイクで来られる方も多いよう。本当に爽快なところですから。

 

⬛️塩俵断崖

 

 

生月島は風光明媚な島で、他にも絶景スポットに数多く恵まれています。

こちらは、塩俵断崖(しおだわらだんがい)という摩訶不思議な地形が眺められる展望台。多角形の奇岩が数え切れないほど並んでいます。これは専門用語で「柱状節理」と呼ばれる現象らしく、岩に垂直な割れ目が入る性質の現れだそうです。自然の神秘が感じられるおすすめスポットです。

 

⬛️大バエ灯台

 

車を北に向かって飛ばしていると、ついに生月島の北端へと「行き着き」ます(洒落ではありません)。島の北端もまた絶景スポットでした。

 

 

見たわす限り紺碧の海が広がっています。ここも是非とも行ってみて下さい。本当に風光明媚な所です。

 

⬛️生月観音

 

 

これは「生月観音」という島を代表するスポットの一つ。写真でも伝わると思いますが、かなりのサイズです。

漁業が主要産業である生月島では、大漁祈願を行う重要な場所であるよう。この生月観音の高台からは、集落を見下ろすことができます。隙間なくぎっしりと密集した家々がいかにも島の漁村ぽい。

 

 

そして生月大橋も遠く窺えます。なかなか素晴らしい見晴らしであります。

 

⬛️夜の漁船

 

 

前述の通り、生月島は漁業が盛んな島なので、夜の海辺を散策すると漁船が複数停泊していました。日本国旗なども掲げ、いまにも出航しそうな様子。島の人の話によると、遥か外国の南の海まで漁をしにいくそうです。早朝同じ場所に来てみると、漁船たちは姿を消していました。もう漁場に向けて出航したようです。

 

⬛️島の民宿「しゅん」はおすすめ!

 

 

生月島で宿泊を考えるのでしたら、ここ民宿「しゅん」を推したいなあと思います。といってもここ一軒しか泊まっていないので比較できないのですが、素晴らしい民宿でした。

何より料理がボリューム抜群で、食べきれないほどです。漁業の島なので、山のように海産物を出していただけます。

またオーナーのご夫婦がきさくな方で、会話も弾みます。普通の民宿はオーナーの方と距離がありますが、ここではまるで家族感覚でお話できますよ。逆にそういうのが苦手な人は避けた方が良いかも知れません。

 

⬛️だんじく様

 

 

ここにきて初めて触れることになりましたが、生月島は潜伏キリシタンゆかりの島です。というか、この島の人口の大半が「カクレキリシタン」らしいので、長崎でも随一の潜伏キリシタンの島と呼ぶことができると思います。

ここ「だんじく様」も、潜伏キリシタンの悲しい歴史が眠るスポット。訪れるには、険しい階段をひたすら海まで降りねばなりません。だんじく様とは、「捕吏に追われた弥一兵衛と妻マリア及びその子ジュワンの3人が殉教した場所」のことだそうです。

潜伏キリシタンは江戸時代になると弾圧されるようになったので、信仰を崩さない信徒は迫害を余儀なくされ、そして殉教しました。信仰を公にできなくなったので「潜伏」するしかなくなったのです。だから殉教したキリシタンがいたのは江戸時代でもかなり初期の話でしょう。

三人の信徒は藪の中に隠れていましたが、海の上から幕府の役人に発見されて捕縛されてしまいました。そういうエピソードがあるので、だんじく様にお参りする際には、海からではなく山道を通行するのが決まりになっているそうです。

 

⬛️生月町博物館「島の館」

 

 

生月島を深く知るには、こちらの資料館に是非行きましょう。「島の館」という面白い名前の資料館です。

 

 

生月島は捕鯨が盛んな地域でしたので、捕鯨関係の展示が多いです。圧倒的迫力のジオラマなど。

 

 

そして潜伏キリシタン関連の展示です。十字架をもした「オマブリ(お守り?)」など。

生月島の信徒たちは、江戸期を通じて200年も正式なカトリックから遠ざけられていたので、信仰形態はいつしか独自なものへと変質していきました。

 

 

こちらの絵は、父なる神(ゼウス)とマリア様(?)と天使ですかね。イエスの懐胎を天使が伝えている図でしょうか。

天使はまるで天狗。マリア様も東洋の女性だし、ゼウスはまるでだるまのようです。思わず笑ってしまうというか、キリスト教とはかなり別の宗教になってしまったようにも思われてきます。キリスト教に限りなく近い何か、とでも言うべきか。

 

⬛️世界遺産になりそこねた島? 西洋世界の暴虐?

 

生月島は隠れキリシタンの本拠地というか、まさに長崎の潜伏キリシタン関連史跡の中でも際立ったものが多いのですが、なぜか世界文化遺産登録から外されてしまいました。まるで意図的とでもいった感じです。

これには推測される理由がありまして、生月島はカトリックへの復帰を拒んだことが影響しているようです。先祖伝来の「カクレキリシタン」の信仰形態を捨てねばならなくなるので、生月島の潜伏キリシタンたちは変質した(進化した?)独自の信仰を維持することにしたのでした。

これはカトリック側の気分を損ね、世界遺産登録を難しくしたという経緯があるそうです。

そういう意味では、世界遺産自体、決して普遍的価値を体現しているのではなく、西洋世界中心の価値観を体現した歪んだシステムであるようにも考えられ、一概に「世界遺産」だから価値があると一概に言えないようにも思われます。

 

いやー、難しいですね。詳しく生月島と世界遺産の関係について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。→https://toyokeizai.net/articles/-/227982

世界が認めた「長崎・天草」の不都合な真実

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