橋で繋がる島,  歴史上の人物

租借地になりかけた彦島と高杉晋作:彦島

 

こんにちは、ドクターリトーです!

 

20世紀半ばまで、アジア諸国は植民地としてヨーロッパの国々に支配されていましたが、日本は第二次世界対戦後に連合国に占領はされたものの、植民地になることはついにありませんでした。

 

そんな日本ですが、実は植民地・・・正確に言えば「租借地」というらしいですが、になりかけた島があります。それは関門海峡、瀬戸内海の西の端っこに浮かぶ、彦島(ひこじま)という島です。もしかすると、あまりご存知の方はいらっしゃらないかも知れません。

 

英領彦島

 

上の画像の赤い線で囲まれているところが彦島です。下関の端、北九州市のちょうど北にあります。関門海峡に位置しております。本土の下関とくっついて見えてしまうほど近くにあり、さらっと地図を見た感じだと島だと認識できないくらいです。

 

しかし彦島は、れっきとした島です。場所も北九州なので工業も盛んで、人口も広くない島なのに三万人弱。なかなか繁している島なのです。今では島の一部で埋め立ても進み、本土と橋で繋がっていたりはしますが。

 

ちなみにドクターリトーは大学生の頃、自転車で京都から北九州の門司まで走ったことがあり、関門海峡にある彦島はほとんど旅の終着点でした。そういう意味で思い出の場所でもあります。

 

この彦島。幕末に日本史の表舞台に登場したことがあります。長州藩と列強との間で、彦島の租借問題が持ち上がったことがあったのです。

 

1853年にペリーの黒船が日本に来航してからというもの、日本は混乱の真っ只中にありました。攘夷派、尊皇派、開国派など、色々な思想が入り乱れたのが、この時代です。

 

長州藩では、吉田松陰の松下村塾の力もあり、新しい時代を自ら切り開こうとする志士たちが育っていました。そして幕府の呼び声に応え、武力を持って攘夷を決行したのが、長州藩でした。

 

1863年5月、アメリカ船のペンプローク号が下関を通過しました。その際久坂玄瑞率いる攘夷派が、大砲を撃ちかけ、ペンプローク号を打ち払うことに成功しました。久坂玄瑞は攘夷の英雄として、その名声は大いに上がりました。

 

しかし1863年7月、報復の艦隊が下関へと再びやって参りました。アメリカ・オランダ・フランス・イギリスの4カ国連合艦隊です。そして長州へと向けて大砲を次々と打ち放しました。西洋列強の砲撃に対して、壇ノ浦の砲台から長州藩は反撃を試みましたが、所詮叶う相手ではありません。

 

 

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瞬く間に砲台は占拠され、長州藩は降伏しました。西洋諸国と日本とでは圧倒的な兵力差があり、西洋側にしてみればこの戦争は、赤子の手をひねるくらいに簡単であったことでしょう。そして戦争後の講和会議が開かれます。長州藩の講和会議のおいて、講和使節として全権を任されたのはこの人、高杉晋作でした。

 

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上が写真ですが、やはり凛々しくてかっこいいですね。ちなみにこの時の高杉晋作は、翻訳として留学経験のあった伊藤俊輔を連れています。この人は、明治維新後に総理大臣にまでなる伊藤博文ですね。

 

4カ国は講和における条件を出してきます。莫大な賠償金はもちろんのこと、彦島の租借を持ち出してきました。高杉はそれに対して断固、「ノー」を貫いたのです。

 

高杉は、上海留学をしたことがあったのですが、その時に上海の租借地を見ていたのですね。その時に中国人も租借地に入れない事実を知って、衝撃を受けたのです。「租借」というから借りるなんて簡単な感じがしますが、領土を割譲するのと変わりません。それならば、何としても彦島の租借化は避けねばばならないと考えていたようです。

 

 

断固として彦島の租借を拒否するため、4カ国の代表の前で、なんと古事記の暗唱まで目の前でしてみせたというから驚きです。さぞかしが西洋人たちはドン引きしたことでしょう。列強は高杉の毅然とした態度に押され、ついに要求を引っ込めてしまいます。こうして彦島は、日本の領土として守られることになりました。

 

この時、高杉がもし彦島の租借を認証していたらどうなっていたでしょうか?彦島は中国の香港のようになっていたかも知れません。下関という日本にとって重要な海峡を外国に抑えられたならば、その後の日本にとってどれほどの脅威になったでしょうか。恐ろしいことです。彦島の租借をきっかけにして、日本全体が植民地化されていた可能性すらあります。ですので彦島の一件は、その後の日本の歴史を左右するほどのインパクトがあったと思われます。

 

関門海峡に遊びに行かれた際には、是非彦島にも立ち寄られて、高杉晋作への感謝の思いと共に、往時の出来事に思いをはせていただいたら楽しいのではないかと思います。

 

さあ、島旅に出ましょう!!

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