離島ファンタジーとして読む「ゲド戦記」。多島海のアースシー!!
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、なんと、架空の離島世界について扱ってみたいと思います(!)
【アースシーの島々情報】
《アクセス》「ゲド戦記」を読んでください。心でトリップ
《宿泊》民宿とか、結構多いみたいです。
《食事》ゲドに魔法で出してもらいましょう!!
◾️ゲド戦記
ゲド戦記という、有名な児童書があります。しばらく前、ジブリで映画化もされたので、ご存知の方も多いと思います(映画の方の評判は、なかなか厳しいものがあったらしいですが・・・笑)
こんな本ですね。
魔法使いのゲド(ハイタカ)が、アースシーの世界を旅して回る物語です。ル=グウィンという人が書きました。文化人類学に造詣が深い人だそうです。
シリーズ化されていて、一作目の「影との戦い」では、ゲドが自ら異界から呼び出した魔物「影」との戦いが中心に描いています。
◾️「離島ファンタジー」としてゲド戦記を捉えてみる
非常に奥の深い物語で、ぜひ読んでみてほしいのですが、このブログは「離島ナビ」なので、ゲド戦記の舞台になっているアースシーの世界について少し紹介してみます。
アースシーの世界。非常に特徴的です。ここは、海と島の世界なんですよ。
http://zassikousekisei.blog.jp/archives/2006-09-19.html
◾️アーキペラゴ(多島海)
これが、ゲド戦記の舞台、アースシーの世界です。広い海に、大小たくさんの島々が浮かんでいます。
ゲド戦記の世界観は神話風で、大昔にセゴイというの神が、何もなかった海の上に海底の土地を持ち上げて、島々が海の上に顔を出したのが、このアースシーの世界だそうです。
海底から盛り上がった山の一部が海の上から顔を出して、「島」になる。まさに、島の本質を表しているような神話です。
地図の真ん中あたりが、アースシーの世界の中心のアーキペラゴ(多島海)です。アースシーの世界で一番大きな、ハブナーの島などがあります。魔法学校のあるローク島も、アーキペラゴにあります。
◾️「アースシー」の世界観がゲド戦記の魅力の一つ
地図の東の端には、白人の野蛮人たちの国、カルガド帝国(ゲド戦記では不思議なことに白人の方が野蛮人で、黒人が先進的な文明を作っているということになっています)。
西の端には、竜の道といって小さな島々が並んでいて、また東南の端は、ゲドが影と対決したところですね(もはやアースシーの地図には記されていない土地ですが)。
ゲド戦記を名作たらしめているのは、この多島海の世界、アースシーの力に因るところが大きいと、私は思っています。
アースシー・・・アース(地球)+シー(海)だと思いますが、よくこれだけ入り組んだ地図を作りこんだな〜と感心します。ル=グウィンは、おそらくアースシーを、地中海(エーゲ海あたり?)をモデルにして作ったのではないでしょうか。
◾️海と島は、冒険の世界に適している
海と島の世界というのは、冒険に適していると思います!
島というのは、海によって他の土地から隔てられているので、境界が非常にはっきりとしています。
それゆえに、島ごとのキャラクターがくっきりと浮かび上がり、また移動したという事実も見えやすいです。
Aという島から、海を越えてBという島に移動して、そこには新しい世界があって・・・といった具合ですね。
(これは、実際の世界での島旅でも、同じことだと思います)。
ゴンドという、山がちで羊が多い、ゲドの出身地の島。
ハブナーという、繁栄した、アースシーの中心の島。
ロークという、魔法学校の島。
非常にはっきりとしていて、物語の過程を見えやすくしています。
◾️もし内陸の世界を舞台にしていたら?
島というのは、独自の文化が育つところで、それぞれの島に明確なキャラクターが定義しやすいのですね。このことがゲド戦記を、ストーリーの把握の容易な物語にしています。
また、アースシーの世界の海には、果てが設定されていないので(地球が丸いかどうかも確認されていないみたいです)、海の向こうに果てしなく広がる無限の世界を想像させ、世界の広がりを感じさせます。
もしこれが海のない内陸の世界であったならば、ゲド戦記はもっと閉鎖的な物語になったように思います。
物語の中では、ゲドが船を操って航海する様子が多く登場するのですが、それもまた、海と船が好きな人間にとっては、嬉しいシーンですね。
◾️魅力あるゲド戦記を読んでみよう!!
作者のル=グウィンは、離島と海の織りなす世界の魅力をよく知っていた人だと言えると思います。
海と島と多島海の世界の楽しさ。十分に感じさせてくれるゲド戦記、是非読んでみてください!!
人間の心理的成長の描写や、神話をモチーフにした面でも、非常に名作です。