100万羽のウトウと40万個のの巣!?渡り鳥の楽園、天売島へ行こう!
こんにちは、ドクターリトーです! 今回の記事では、北海道の離島、天売島(てうりとう)について扱いたいと思います。「てうりじま」ではなく「てうりとう」。ちなみに豆知識ですが、明治以降につけられた名付けられた島は、「しま」ではなく皆「とう」になっています。
【天売島情報】
《アクセス》札幌市外からバス、羽幌ターミナルからフェリー、または高速船
《宿泊》民宿、旅館複数。「民宿竹内」は良かったです。
◾️天売島
天売島は、北海道北西部に浮かぶ離島! 北海道の数少ない有人離島(たった5つ)の内の一つです。
隣には焼尻島が浮かんでいて、まるで兄弟島の様相を呈しています。
焼尻島についてはこちらの記事を→http://ritou-navi.com/2017/08/06/yagishiri/
天売島と焼尻島はほとんど面積が同じで、人口も同じくらいで何だか面白いです。
天売島:面積5・5平方キロ 人口約300人
焼尻島・面積5・2平方キロ 人口約250人
よく似ているでしょう。まさに兄弟島と呼ぶにふさわしい2島です。
◾️島内観光バスツアーに参加!
こちらが、天売島の港付近。「夢の浮島 天売 ようこそ」と書いてあります。
同じく北海道の礼文島も、「花の浮島」というキャッチコピーで売り出しているので、軽いデジャブを覚えました。「夢の浮島」とは、まさに夢のような名前。
「浮島」=「浮世離れした島」か。現実逃避をするためには訪れるにはもってこいかも知れません。
「天売観光バスツアー」という便利な観光ツアーが用意されていたので、迎えに来てくれた民宿の方の勧めもあり、参加することにしました! 約1時間で島内の名所を一通り連れ回してもらえるお得なツアーです。ちなみに私以外の参加者はみな高年齢層でした。かなり浮いていました笑 でも面白かったので参加をおすすめしたします。
◾️天売高校
天売島の名所(?)の一つがこちら!! 天売高校です。バスツアーではここで降りることはなく、通過がてら説明をしてもらっただけですが。
なぜこの天売高校が名所なのかというと、天売島に高校があること自体が奇跡だからです。
人口が300人しかいない離島に未だに高校が設置されているのは、不思議な現象としか言いようがありません。もっと人口が多くても、高校がない島などたくあんありますし。
この天売高校は、生徒数は全学年合わせて五人しかいない(!)らしいです。高校を維持するために、本土から生徒の呼び込みを行っているそうです。たしかに都会の高校よりも、この離島の高校なら楽しく通える学生も結構いそう。
私も天売高校に通ってみたかったなーと少し思ってみたりしました。
こちらが高校の建物。さすがに生徒数5人だけあって、こじんまりとした校舎です。
離島では少子化を超えた「無子化」が進んでいるところが多いので、高校まで存在する天売島のことが何だか眩しく感じました。子供がいるということは島に未来があるということなので、それだけで活気が満ちているような感じがします。
住民が高齢者だけになり、いずれ無人島化が半ば宿命づけられている島々には、やはり独特の侘しさが漂っています。この感覚は表現し難いのですが。この島には、それがありませんでした。
◾️黒崎海岸
バスツアーで最初に下ろしてもらったのがこちら、黒崎海岸。
海岸の目と鼻の先には、真っ黒な小島(岩)が浮かんでいて、その上には何とウミウたちが!!
ガイドの人は望遠鏡を持っていて覗かせてくれましたが、結構な数がいるのが分かりました。このウミウは京都の鴨川に連れていかれて、鵜飼に使役されるそうです。カワウっていうのが有名ですが、ウミウを川に連れていっても、ほとんどカワウと違いないそうです。何だか面白いですね!
◾️赤岩園地
そして、天売島を代表するスポットがこちら、赤岩園地(あかいわえんち)!!
こちらに穴が空いているのが分かると思うのですが、これはウトウという鳥の巣。ウトウは天売島の代名詞とでもいうべき鳥で、毎年約100万羽が訪れて子育てを行うといいます。地面に奥行きの深い巣を掘って、その中でひなを育てるのです。
おびただしいウトウの巣が赤岩園地には存在します。その数約40万個というから、驚くほかありません!!
ウトウは、パートナーはオスとメスは生涯同一個体でつがうという、実に律儀な鳥らしいです。そして年に一回繁殖するのですが、卵はたった一つしかメスが産まないそうです。だから天売島には約80万羽のウトウが飛来することになります。
だから、雛は実に貴重な存在!! 天敵のカラスなどに襲われないように十分注意しなければなりません。そのためにとても深くて細い穴を掘って、雛を守っている訳です。
こちらがウトウの姿。結構小柄の鳥なんです。
昼間は海まで餌を取りにいっていて、島を離れているので直接見る機会はなかったのですが。
ちなみにウトウの巣がこれだけ大量にあるのは、日本の離島でも唯一天売島だけです。日本唯一であるだけでなく、世界的にもこれだけ大規模にウトウが暮らしているのは天売島だけというから驚き。
隣の焼尻島では標高が低すぎて巣に天敵の侵入を許しやすく、逆に利尻島や礼文島は標高が高すぎて雛の飛行訓練の際に障りになるそうです。そういう意味でも、天売島はかけがえのない大切な離島なのです!
◾️赤岩展望台
そして巣穴の近くにあるのが、この展望台。見渡す限り雄大な日本海を望むことができる絶景スポットです。
こちらが赤岩。これが「赤岩園地」の由来だそうです。このあたりには、今は日本国内ではほとんど絶滅しかけているオロロン鳥、正式名称ウミガラスの卵が大量にあったそうです。最盛期には4万羽も天売島にやってきていたそうですが、今ではたった数十羽ほどに減ってしまったそうです。
こちらがオロロン鳥。腹は白く、背中側は黒いツートンカラーの特徴的な姿をしています。「オロロン」という鳴き声を出すらいしので、オロロン鳥と呼ばれます。
オロロン鳥は羽幌町のシンボル的存在らしく、北海道本島側の羽幌町内には大きなオロロン鳥のモニュメントも据えられています。
ここには、夕暮れ時に餌を雛に持ち帰るウトウたちが、いっせいに帰巣する姿が目撃できるそうです。ピークの6月頃は本当に80万羽が帰巣するそうですが、7月も下旬だったのでもう数少なくなっているそうです。
◾️利尻富士が見える
遠くの方に霞のように浮かんでいる山は、利尻富士です! 利尻富士はすなわち利尻島。天売島のはるか北方にある島です。稚内の近くです。
利尻島は天売島よりも70キロくらい北に浮かんでいるのですが、とてもよく見えます。この光景を眺めていると、日本の最北端付近にいることがよく実感できました。
◾️ウニの産地、天売島
天売島で宿泊したのは、こちらの民宿竹内。
こちらが夕食。二食付き6500円だったので、とても満足できる内容ではないでしょうか?
まだ死んでいないのか、とげがよく動いていました。うにだけに「ウニウニ」と動いていました笑。
こんな感じでウニを食べたことってなかったので、とても美味しく感じられました。とにかく鮮度は抜群です。
渡り鳥の楽園天売島、是非行ってみてください!! 小さい島ですが、見所は実に多いです。
私もバスツアーで一周連れまわしてもらったので、次回行く機会が持てればじっくりと島内散策をしてみたいと思いました。できれば渡り鳥のシーズン真っ盛りのの6月くらいに。北海道が梅雨もないですし。
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