島尾敏雄「ヤポネシア」論。日本は遥か南の太平洋諸島と同胞なんです!!
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、島尾敏雄(しまおとしお)という昔の文学者が唱えた「ヤポネシア」論について、少しばかり扱ってみようかと思います。
◾️島尾敏雄とは誰か?
島尾敏雄。ご存知でしょうか?
私は(南島にハマっている割には)長い間彼の名を知らなかったのですが、というかつい最近知ったのですが・・・笑、「死の棘」など奄美を舞台にした作品を書いた、かなり昔の作家です。調べてみると、当時は名を馳せた人だったとか。
1917ー1986なので、戦時中に青年時代を生きた人ですね。
戦時中に奄美群島の加計呂麻(かけろま)島に配属され、なんと特攻隊指揮官を務めていたそうです。興味深いエピソードですが、終戦日の8月15日には特攻隊としての出撃命令が下されていましたが、待機状態でした。
そしてそのまま終戦を迎えた訳です。危うく、命拾いをしたというところでしょうか。
まあそういう物騒な理由で加計呂麻島に行った訳ですが、これが島尾敏雄にとっての奄美、南島との出会いでした。
単に南島と出会っただけではなく、のちに妻となる島尾ミホ(大平ミホ)とも出会います。島尾ミホは、もともとは巫女の血を継いだ人らしく、「海辺の生と死」などこちらも名作を残しています。
上の写真は、奄美群島、名瀬市街にある「島尾敏雄文学碑」。島尾敏雄がかつて勤めた図書館の近くにあります。
もっと豪華な文学碑が、加計呂麻島に設置されているらしいですが、そちらは見ていません。というか、この碑も半ば偶然発見したんで。
彼について、あまり知らないのです・・・笑
◾️ヤポネシアとは何か?
彼が唱えた有名な言葉に「ヤポネシア」というものがあります。この記事でむしろ取り上げたいのは、この用語。
ヤポネシア、何かエキゾチックな響きがしません??
どういう意味かというと、海外では日本のことをJAPAN(ジャパン)だけでなく、「ハッポン」「ヤポン」とか言ったりするらしいですが(呼び方多すぎですよね)
ヤポン(日本)+ネシア(島々)=ヤポネシア
という訳です。
ヤポネシアとは、「日本列島」という意味。
じゃあ、別に普通やん!!と言われてしまいそうですが・・・笑
◾️太平洋の島々とのつながり
それでは、ヤポネシアという語に、島尾は敢えてどういう意味を込めたのかというと、それは「太平洋の島々とのつながり」です。
太平洋の島々は「オセアニア」と言われたりします。細かく分けると
・ミクロネシア(パラオ、サイパン、ポナペ)
・メラネシア(パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、)
・ポリネシア(ハワイ、トンガ、タヒチ、イースター島)
の三つです。
ヤポネシアと、語感が似ていると思いません? ヤポネシア、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア。
日本を「ヤポネシア」と言い換えると、まるではるか南に広がる太平洋の島々のグループに入るような感じが途端にしてきます。
◾️南西諸島、小笠原から日本を俯瞰する
(悪石島の来訪神、ボゼ)
そういえば、日本にも太平洋の島々に連なる「南の島」があるのでした。
それは、奄美沖縄など南西諸島。そして小笠原諸島。
日本本土とは、まず気候が異なり、植生が異なり、動植物が異なり、文化が異なり、歴史が異なり、言葉にも強いクセがあったりします。
同じ日本ではあるのですが、どこか南方の外国みたい。南国みたいだけど、やっぱり日本。それが、日本の南の島々。
人の気質も、おおらかだったり、時間にルーズな面があったり、共同体意識が強かったり、先祖霊を敬う気持ちが非常に強かったり、日本本土とは明らかに違います。
島尾敏雄も、奄美で暮らす中で感じたはずです。ここは日本本土とは明らかに異なるところだと。
そこで生み出されたのが、きっと「ヤポネシア」だったのでしょう。
日本だけど、日本ではない。その微妙な感覚を表すのに、「ヤポネシア」はぴったりだと私も感じます。
そして日本の南の島々は、太平洋諸島との共通点も多く、はるか南の熱帯の海へと向けて連なる土地でもあるのです。
◾️日本人は「大陸」を意識し過ぎ!
日本は、普段自分たちをどう定義しているか?
だいたい、東アジアの一国だと思っているのではないでしょうか?
漢字も使うし、箸も使う。中国と似ている面も多いです。儒教文化圏というのも共通しています。
なので、日本人は普段、中国、韓国を非常に意識しています。サッカーでも日韓戦は異様に盛り上がりますし、ネットでも中韓叩きはいつも盛んです・・・笑
それに対して、南方の島々、パラオやハワイやパプアニューギニアのことは、あまり意識に上りません。たまに観光雑誌で取り上げられるくらいでしょうか。
しかし、もっと南方にも日本は注意を払うべきだと思うのです。なぜなら日本は「ヤポネシア」なのですから。
◾️「ヤポネシア論」は、硬直した日本社会に風穴を開ける秘策?
日本社会は、勤勉で真面目、そして常識が強く均質的。よく言われていることですが、息苦しいとも表現されます。
しかし一方で、普段は意識されることはないですが、太平洋の島々への連続性の性質も持ち合わせています。
自由と冒険の土地である南洋(実際はそうでない面はあります、地上に楽園はないので・・・)とも、本来的には繋がりの強い国でもあります。
そういう訳で、ヤポネシア論は日本社会に風穴を開ける鍵となりそうな感じもします。
たまには、日本のことを「ヤポネシア」と言い換えてみてはいかがえしょうか?
例えば・・・・
日本人=ヤポネシア人(海辺で魚獲りとかしそう)
日本語=ヤポネシア語(漢字とか使わなそう)
日本酒=ヤポネシア酒(カバ酒?)
日本刀=ヤポネシア刀(弱そう・・・)
大日本帝国=大ヤポネシア帝国(インカ帝国か・・・)
なんか、南国風味で面白くなってくる感じがします。他にも、やってみてくださいね!!
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