地鉈温泉は秘湯にして秘境!明治時代に開島した新しい式根島へ行こう。
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、伊豆諸島の式根島(しきねじま)について。
式根島は伊豆諸島の中ではマイナーな離島ですが、秘湯の地鉈温泉や松ヶ下雅湯など良き天然温泉がある楽しい島でした。また明治以降に開島された歴史の浅い島でもあります。是非とも式根島について知ってください。
⬛️開島百数十年の新しい島
こちらは、式根島の集落道路。広くて、二車線。なんだか離島の道路らしくなく、違和感を感じます。
そして信号の多さ。対して人口もいないのに、まるで本土のような感じ。実はこれにはおそらく理由があり、式根島が明治時代以降開島した新しい島であることが影響していると考えられます。
式根島は明治時代・1886年に開島した島で、それまでなんと無人島だったのです! だから開拓の仕方が北海道などと似ているのだと思います。すなわち大きな道を作るとか。
結構最近までアメリカ西部のようなフロンティアであった、式根島。無人島を一から開拓していくとか、面白そうですね。いや、面白いとか開拓者は感じる余裕もなく毎日が試練との戦いであるに違いありません。
こちらが開島記念碑。
普通の離島では、自然発生的に気がついたら人が住んでた・・・という経緯が普通なので、こういった碑は不思議な感じがします。開島記念碑があるのは、式根島の他には、大東諸島とか小笠原諸島とか、それくらいではないでしょうか。
⬛️まいまいず井戸
こちらの不思議な構造物は、「まいまいず井戸」というもの。実は井戸なんです。
「まいまいず」とはかたつむりを指すそう。道がかたつむりの貝殻のように螺旋状になっていることから。
無人島だった式根島へと最初に移住してきたのは、隣の新島の人々。当初は飲み水にさえ困る有様だったそうですが、この井戸を三年かけて完成させてからようやく水を確保できるようになったそうです。
この井戸ができてから式根島の開拓は急速に進み、井戸を中心に集落が形成されていったそう。つまりこの井戸は式根島誕生の地といっても過言ではないということです。
今では井戸に頼らずとも水も確保できるようになったので、井戸はひっそりとしていました。島の開拓の苦労が伝わってくるエピソードです。無人島を開拓するのは、本当に大変。
⬛️松ヶ下雅湯
式根島は天然温泉が多い島。
こちらはその一つの「松ヶ下雅湯」。見た通りの、松の下にある雅な湯であることが由来でしょう。分かり易すぎるネーミングですね。塩気の強い温泉です。そして赤茶色。水着必須ですが、水着が赤くなります。太平洋を眺めながら入る風呂は、なんとも言えないものがあります。
⬛️秘湯・地鉈温泉
式根島には、さらにとても特徴的な温泉があります。それは地鉈(じなた)温泉という奇妙なネーミングの温泉。
こちらが温泉への道のり。険しい山の間に開かれた僅かな通路を抜けていきます。この地形こそが「地鉈」の由来。地面を鉈で割ったような場所にあるからです。まさに名が体を表しています。
地鉈温泉。本当に秘境です。秘境にして秘湯。いやー、素晴らしいスポットですねえ。
下まで降りてみると、この通り。真っ赤な湯がお出迎えしてくれます。
海の間際にあるので、海水が侵入しているので全体的には冷たいですが、温泉が湧き上がっているところは熱いです。従って、場所によって温度はまちまち。
潮の満ち引きによっても変わるので、その時にちょうど良い温度のエリアを探し出して入る必要があります。結構高度な技術が必要かも知れません。でもかなり気持ち良いですよ。波のくだける音を聞きながらの露天温泉。これだけ秘境だと、他に誰もいませんし。
温泉近くの岩肌を眺めると、記念の彫り物が。昭和十三年なので遠い昔のもの。戦後しばらくくらいですね。
でも一回彫ると半永久的に残るので、確かに記念としてはもってこい。彫るのかなり大変だと思うのですが、どれくらいの期間がかかってるのかなあ。そんなに短時間で完成しないと思うし、どうやって彫るんだろう。いつも気になって仕方ありません。
こちらはなんと大正時代の彫刻。右の岩の「京東」とは東京のことだと思います。文字を右から書いていた時代の遺物。
こちらはこの地鉈温泉を整備した時に造られた記念の彫り物。明治時代です。この彫刻たちを色々眺め回るのも、地鉈温泉の楽しみ方の一つかも知れません。
⬛️塩釜の跡
江戸時代まで式根島は無人島でしたが、全く人の営みと無縁だったわけではありません。
これが大東諸島や小笠原諸島との大きな違い。あれらの島々は人間に影響を近年まで全く受けていませんでした。伊豆諸島の真ん中にあるので、住民たちの影響を受けていました。そこが大きな違いですね。
「塩釜の跡」は、その歴史がうかがわれるスポットの一つ。
かつて新島の島民たちが、年貢の塩をつくるための製塩作業を式根島の海辺で行っていたそうです。式根島に定住はしませんでしたが、生活の一つの場にはなっていたということ。
「塩釜伝説」というエピソードがあるらしく、とある船頭が年貢塩の不足において身の潔白を証明するために煮えたぎる塩釜に飛び込んだそうです。こちらはその供養碑ということでしょう。凄まじい話です。その事件以来、式根島での製塩は止んだということです。
⬛️島のショップ「みやとら」 名物・「島のり弁当」
式根島は規模が小さな離島ですので、大きな商店などはありません。その代わりにちょっとした生活用品を総合的に販売する商店がいくつかあります。こういうタイプの商店は、離島あるあるです。
何軒かあるショップの中でも、こちらの「みやとら」がおすすめです。是非とも記念に弁当でも買っていただきましょう。
「島のり弁」というのが名物です。「地のり」と「自家製たたき揚げ」と「あしたば天ぷら」など島の特産品を合わせた名物弁当です。人気ナンバーワン商品。リーズナブルでとても美味しいです。
特にあしたばは、伊豆諸島の特産品です。どこの島でもよく見かけます。
⬛️泊海水浴場。美しい港
訪れてみてわかったことは、海の美しさも式根島の魅力の一つ。
こちらは泊海水浴場。扇型の美しい入江です。エメラルドの南の島を思わせる海辺です。
式根島はそんなに南の島ではないのですけど。
式根港の港の海も素晴らしい色合い。ずっといたくなるような場所です。
まるで地中海のような雰囲気ですねー。
帰りの船がやってきました。向かいに見えるのは新島。本当に近くですねー。
式根島。いい島だったのでまた訪れてみたいです。温泉に恵まれた伊豆の秘島。
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