地方創生の聖地。徳島県神山町で過ごしたあれこれ(2)
こんにちは。前回に引き続き、徳島県神山町について取り上げていきます。地方創生の聖地ですので、面白い事がたくさんあります。愉しみに御覧ください。今回は「雨乞いの滝」や、卑弥呼伝説の残る隠れ寺なども紹介していきます。
■神山随一の聖地「雨乞いの滝」
徳島県は地方創生の面でも有名ですが、一方で自然や歴史の充実した場所でもあります。「雨乞いの滝」は是非とも足を運んで頂きたい素敵な場所。
スタート地点からかなり登るので、用意していただいている杖は必須です。なかなか大変ですが、壮麗な滝が待ち受けているので頑張って登ってみて下さい。
こんな感じです。素晴らしいでしょう。
滝壺も上品です。ロールプレイングゲームに登場しそうな、秘められた雰囲気。神山を訪れたらまず訪れたい場所です。
昔は雨乞いが行われていたようです。
■天岩戸伝説の残る、「立岩神社」
車でかなり山の奥深くまで進んでいかなければならないのですが、「立岩(たていわ)神社」も良き所。
古代史を研究されている人には有名なのですが、天岩戸伝説の舞台とされています。天岩戸伝説とは古事記に出てくるのですが、スサノオノミコトの乱行により岩戸に隠れてしまった太陽神・天照大神を引き出すため、神々が集まり相談をし、宴会を開きアメノウズメが舞いを舞う等して、計略を以て引き出した伝説です。
実は徳島は卑弥呼伝説が残る場所です。卑弥呼というと邪馬台国ですが、邪馬台国は阿波の国にあったという説があります。邪馬台国というと、九州または大和説が有名ですが、密かに徳島説もあるのです。真偽のほどは・・・神のみぞ知る(?)
「魏志倭人伝」に残る資料から推定すると徳島になるなど根拠はあるのですが、気になる方は調べてみてください。
大きな岩が聳えていて、岩陰に小さな社が祀られています。密やかな雰囲気で、確かにここが天岩戸だったと言われたら納得してしまいそうなところ。伝説を抜きにしても、心地の良いところです。
こちらは、卑弥呼の住いがあったとされる、「悲願寺(ひがんじ)」という御寺。立岩神社と並んで、ひっそりとした秘境スポット。
神山町は秘境色が強いので、いかにも伝説の舞台としてはぴったりです。そのあたりが卑弥呼伝説が生まれた原因の一つかもしれません。
■住まわせてもらったシェアハウス「山姥」
前回の記事で神山町で半年暮らしたと書きましたが、地域づくりの仕方を学ぶために滞在していたのです。その時に住まわせてもらっていたのが、こちらのゲストハウス(シェアハウス)「山姥(やまんば)」。阿川集落という、神山町の中でも秘境感の濃厚な地域にあります。
広々としてとても素敵な住環境で、今思い返しても素晴らしいものでした。ただここを去ってしばらくしてから火災が起こり、今は消失してしまいました。残念な限りです。
「しろちゃん」という遥か南国ベトナムからやってきた愛らしい三毛猫もいたり。
ここの御風呂は窯風呂なので、自ら火を起こして熱を入れなければなりません。それも新鮮でした。都会にいると、スイッチ一つで湯が沸いて来ますから。こんな趣深く、温まるお風呂には入れません。薪風呂は身体の芯から温まります。冬の時期には有難かったです。
■草木染、藍染
染物で御商売をされている方もいて、草木染、藍染を教えていただきました。
草木染というのは、このようにヨモギとかその他の草を染料として用いるのです。草木を鍋で煮詰めて、エキスを出します。
煮汁に浸した手袋や手ぬぐいなど。綺麗な薄い緑色です。これを干して乾かせば、出来上がり。ゴムでしぼったところは染料がしみ込まず白いままになるので不思議なものです。
■そば作り体験
神山町は山間の町なので、そば栽培も行われています。そういう訳で、そば作りも体験させていただきました。そばを麺から自分で作るなんて初めてでした。そば粉をこねて、ヘラで延ばし、包丁で裁断していく。
手製のそばにかしわを乗せた「かしわそば」。自ら作ったそばは、一際美味に感じます。ただ少し太かったり、麺の太さは揃っていないですが、そこは御愛嬌。
山の中にして牡蠣や、イノシシのお肉もいただきました。豚よりも野性味が強く、慣れるとスーパーの豚よりも断然美味しく感じられます。
■漆喰塗りをお手伝い。
神山町は山間の町なので、高台に家が建っている事が多いです。人口減少が続くことから空き家も多い。そこで空き家を改修して住む人も現れます。空き家修繕のお手伝いをする事にしました。
漆喰を壁に塗り込んでいく作業。ススキを塗り込んでいるのがおしゃれです。センス抜群です。
■石積みの町、神山
神山町は山間の町なので、石積みも多いです。町中どこに行っても石積みを目にします。だんだん畑に使ったり、家々の石垣だったり。
生活の便宜から生み出された物ですが、見た目にも美しく、芸術が宿っています。近頃は人口減少と共に風化倒壊も目立ちますが、もったいない。
石積みを専門に仕事にしている方もいるくらい。石積みはかなり技術の必要な仕事だそうで、積み方次第で堅固になったり脆くなったりする様です。見た目にはあまり違いは分からないのですが。何事も極めるのは大変という事。
■春の訪れ、「梅まつり」
冬前くらいから過ごし始めたのですが、やがて春がやってきました。春と言えば、梅の季節。
阿川集落は梅の里なので、梅が凄い本数植えられています。「梅まつり」まで開かれます。
梅の樹々。梅は桜と少し違って、平たく枝を伸ばすようです。
集落の山々は、梅色に彩られます。
梅まつりの出店ブース。毎年の祭り風景を収めた写真集も用意されています。住まう人々の祭りへの想いの深さが伝わりました。
■「ゆうかの里」の桜でさようなら
春の訪れと共に約半年の滞在も終わり、町を離れる事になったのですが、最後に桜の名所を訪ねました。梅の次は桜の季節です。
「ゆうかの里」という町はずれにあるスポットですが、こんなに美しい枝垂桜(しだれざくら)は、そうそうあるものではありません。
しだれ桜の里としても有名なのです。春先が町が一番良い季節なのだと実感させてくれました。
しばらく紹介してきましたが、他にも企業のオフィスが入る「コンプレックス」だったり、ビール工場だったり、神山町の見所名所は多数あります。色々な面で魅力の溢れる場所です。その一部の紹介になりましたが、少しは魅力が伝わりましたでしょうか。
■おまけ:お隣の「はっぱの町」上勝町
神山町の隣に、「上勝町(かみかつちょう)」という葉っぱビジネスで名を馳せた町があります。おばあちゃんが葉っぱで年収一千万なんて話題になったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
隣町といっても、山に挟まれているので、車で行くなら一度徳島側へと引き返さなければならず、アクセスは大変です。それでも、温泉や滝など楽しいスポットも多いので、是非とも行ってみてください。
「百間滝(ひゃっけんたき)」。雨乞いの滝とはまた雰囲気が少し違います。