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地方創生の聖地。徳島県神山町にて半年過ごしたあれこれ(1)

こんにちは。今回の記事では、少し変わった場所にについて。もう数年前の事になるのですが、徳島県の神山町(かみやまちょう)において半年ほど暮らしていた事があります。本ブログで取り上げないのは勿体無いと思い、振り返りとして、今更ながら記事化する事を思い立ちました。

ご存知の方も多いと思いますが、神山町は地方創生の町。地方創生の成功事例としてメディアで取り上げられる事も多々あり、現在進行形で様々な取り組みが行われている話題性の多い所です。とにかく面白い町ですので、楽しみに御覧ください。

 

■神山町とはどんな町? 過疎化から逆転した町

 

 

こちらは天辺丸(てっぺんまる)という山の上から撮影した写真なのですが、ここから神山町全体を見渡すことができます。

 

こうして眺めると、小さな町ですね。山に抱かれるようにひっそりと佇む山間秘境です。秘境といっても、神山町は徳島市から車で約30分程度。アクセスの良い所です。

 

 

ここでは「森づくり」と称して、時折杉の伐採を行われています。山林というのは手入れをしないと荒れる一方なので、定期的に伐採して森に日光が入るようにする訳です。森林管理では欠かせないことです。

 

神山町はかつては杉の産地として名を馳せ、木材産業が盛んでしたが、時代の流れで衰退していきました。産業がなくなっていったため、呼応して人口流出も加速。放置される杉林も増加。

二万程度あった人口も、いつしか五千人にまで激減しました。つまりは日本中どこでも問題になっている人口減少、過疎化のトップランナーだったのです。それが色々な要因が重なり、地方創生の聖地まで上り詰めたのです。

 

 

なぜ神山町は地方創生の旗手として名を馳せるに至ったのか。それは山間集落にして外部に対して開放的な気質を持っていた事が大きいようです。イメージ通り日本の田舎町は保守的な事が多いですが、神山町は「アリス人形」を通じて、はるかアメリカ合衆国の農村(ペンシルバニア州のウィルキンスバーグ市)と交流するなど、海外とすら交流に熱心でした。

アリス人形というのは、戦前排アメリカで排日運動が起きた際に、アメリカの親日家が提唱して日本に数多くの人形を送ったのですが、その人形の事です。戦後に里帰り運動を地元の方が起こし、アメリカへの「里帰り」が実現されたのです。そんな感動的なエピソードもあり。

 

神山町の地域づくりを支えているのは、外部からの移住者が大半ですが、そういった気風が移住者を呼び込みやすい風土を形成していきました。人口が減少すると地域の活力が衰えるのは必定ですが、移住者を呼び込めば新しい風が入ってきます。ただ保守的な田舎では移住者が定着しにくい。外部に開かれた気質は、地域づくりをする上で非常に重要なのです。

 

移住者といっても単なる移住者ではなく、例えば手に職を持った人々を呼び込めばより活性化が期待できます。例えばIT企業を誘致したり、芸術家を招聘すれば魅力的な町づくりに直結します。

 

 

アート・イン・レジデンス」と称して、芸術家を一定期間招いて創作活動をしてもらう活動があるのですが、神山町では長らく取り組んできました。外国からも多く呼んできました。それで町が気に入り、実際に移住した人もいるそうなので、効果抜群です。

 

また徳島県では早くから光ファイバーを県内に巡らしてきたので、東京など大都会よりも通信がしやすいです。それがIT企業のサテライトオフィスを呼び込む原動力にもなってきました。

 

そうして魅力的な人や企業を惹きつけた結果、町の魅力度が上昇して、更なる移住者を呼び込む。知名度も上がっていくという循環が生まれたのです。少し伝わりましたでしょうか。

 

人口の総数は増える事は残念ながら難しいのですが、人口が減っても創造的な町づくりは可能だという事を実証したのが神山町。

創造的過疎」なんてネーミングされているようです。格好いいですね。

 

■地産地消のシンボル「かま屋」

 

 

神山町では、他にも様々な先進的取り組みが行われています。純白の建物が目立つ「かま屋」もその一つ。

近年ブームになっている「地産地消」をテーマに掲げていて、神山町で取れた農産物を食せる有難いレストランです。

 

 

私も何度もお世話になりましたが、とても美味しく、健康にも良いです。ただ価格は安いとは言えませんが、素材にこだわっているので理由のある事です。

 

 

食堂にはショップも併設されていて、野菜や果物、加工品など、地元の特産品を購入する事ができます。「カミヤマメイト」なんて、面白いパロディ食品ですよね。米粉や米ぬかが入っているので、栄養抜群です。

 

■カフェレストラン「オニヴァ」

 

 

レストランといえば、「オニヴァ」も有名です。素材にこだわったレストランで、一年の内数カ月も休業します。従業員の方々は、休業中にヨーロッパに旅に出て、料理の勉強をされていたりするそうなので、楽しそうです。

 

 

こちらは、鹿肉の唐揚げ。山間の町なので、鹿やイノシシが獲れます。よって「ジビエ」も並ぶという訳。都会に住んでいると馴染みのない鹿肉ですが、さっぱりしていてとても美味です。神山町に行ったら、立ち寄ってみて下さい。

 

■ゆずの収穫

 

 

ジビエだけでなく、「ゆず」や「すだち」なども、町の特産品。特にすだちは神山町の象徴的な農産品です。山間地ゆえに、柑橘類の栽培には適しています。斜面には畑がたくさん。

 

写真はゆずです。少しですが、収穫を手伝わせて頂きました。

 

 

こちらは畑から眺めた風景。畑と三角屋根の家。この家屋は、元々カイコの「養蚕(ようさん)」が行われていたので、その名残です。

神山町では当たり前に目にする情景ですが、離れてみると実に趣深いなあと心に思われます。これも日本の原風景かな。

 

 

手伝いの際にいただいたこちらのカレーは「鹿肉カレー」。鹿肉が本当に身近な所です。

 

長くなるので、次の記事に続きます。

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