8階建てアパートは必見!!廃墟だが人の暮らしもある、不思議な池島。
こんにちは、ドクターリトーです。今回の記事では、長崎の廃墟の離島・池島(いけしま)の地上の様子について取り上げたいと思います。炭鉱見学については、こちらの記事をご覧ください→http://ritou-navi.com/2017/07/20/ikeshima/
【池島情報】
《アクセス》長崎市外からバス、神浦港、瀬戸港から船、など。詳しくはこちらを→http://blog.ikeshima.info/go_ikeshima
《宿泊》池島中央会館(一軒のみの宿)
《食事》「かあちゃんの店」のみ
◾️使われなくなった大量のアパート群
前回の記事では、池島炭鉱ツアーを特集しましたが、最後の少しだけ地上のツアーもしていただきました。
なんと、今は使われなくなったアパートに入ることができるんです!
池島は人口約8000人(最盛期)→200人弱(現在)へと著しく減ったので、池島の建物の大半は廃墟化しています。
この写真に写り込んでいる建物も、ほぼ全てが廃墟なんです。信じられないゴーストタウンぶりです。
廃墟ですが、セキュリティ管理のために鍵が閉まっていて自由に出入りできる訳ではなく、観光客が入れるアパートはここ一軒だけです。ツアー時の観光用限定で解放されています。
まるで昔の甲子園球場のように、つたがびっしりと覆っているアパート。
人工物が長い時間をかけて自然へと還元されていく過程を見ているような、そんな印象があります。これは、人口減少が進む日本の未来を先取りしている感じでしょうか?
昔の炭鉱で働いていた人の部屋も、そのまま再現されています。
テレビといい、ポットといい囲碁台といいポスターといい、昭和の香りが部屋中に充満している感じです。本当にこんな感じだったのでしょう。リアルすぎ! 実際に使用していたものを用いているので当然ですが。
◾️労働者用入浴施設
地下炭鉱に向かう集合施設があり、そこにはこんな入浴施設が用意されていました。これは仕事上がりに入るためらしいので、かなりのスペースが用意されているようでした。広いお風呂です。
重労働後の風呂は、さぞ気持ちが良かったことでしょう。
ずらっと並ぶ大量の洗面台のようなものも。こちらももう二度と使用されることはないのでしょう。
大昔はここにずらっと人が並んでいたことでしょう。兵たちが、夢の跡(?)。
建物の近くには、こんな銅像も。炭鉱服姿の兄と、その弟(?)。どこかたくましさを感じさせる銅像です。いかにも炭鉱で働く男という感じ。
◾️8階建てアパート
こちらが、池島の有名なスポット。その名は「8階建てアパート」。
離島に8階建てもの高層アパートが存在するなんて信じられないですが、それだけ人口過密地域だったのです。
人口のほとんどが流出してしまった今となっては人影などあるはずもなく、全くの廃墟とかしてしますが。
8階建てアパートは、ちょうど中間に踊り場のようなところがあり、そして謎の橋のようなものもありますが、その理由は・・・。
このアパートの裏側に回り込んでみると分かります! 池島は高低差のかなり高い島なので、アパートの裏側はかなり高くなっています。そこで真ん中に橋を取り付けると、アパートの五階から上に住まう人は途中まで階段を上る手間を省くことができるのです。エレベーターのない8階建てアパートでは、これは嬉しい仕様!
地形まで利用した、実に賢い設計がなされています。
◾️現在も人の暮らしがある池島
池島は確かに廃墟の多い離島ですが、現在も人は暮らしています。ということは、もちろん暮らしの営みがある訳です。
こちらは「総合食料品小売センター」と仰々しい名称ですが、言うなれば島の食堂です。
池島には食堂は他にはないので、非常に重要な施設になります。こちらのカツ丼はボリュームがかなりあり、非常に美味しいものでした。
島には猫も多いです!
もちろん猫も人の暮らしに依存しています。上の写真は、ご飯をもらっているところ。
◾️なんと、アパートに入れていただく
食堂で出会った島の人にアパートにあげていただき、お酒など飲ませてもらいました!
もともとは炭鉱で働いていた人で、今は炭鉱ツアーの会社に勤めてられるそうです。島の昔の話をして頂きました。昔、池島に人が満ちていた頃の話です。その頃は池島に飲み屋もあり、アパートはほぼ満室で、毎日がお祭りのような騒ぎだったそうです。今の静まり返った池島からは想像もつきませんが。
そして島の人間関係の難しさ(島内で対立があるそうです)などについて教えていただきました。離島って旅行をしている分には気がつかないことが多いのですが、島の人間関係って派閥があったり対立があったりしてなかなかに複雑なことが多いのです。狭い島だから仲良くすればいいような感じですが、逆に人間関係が近すぎて困る面もあります。私も離島好きだけど、島に住みたいとは、それほど思わないのはそういう煩わしさがあるからです。
廃墟化が進む池島ですが、確かに人の暮らしが息づいていることを今回の旅では実感しました。
いつかは軍艦島のように無人島になってしまうのかも知れませんが、今は移行期というか、半廃墟の島です。これが池島固有の不思議な雰囲気を醸し出している原因だと思います。
日本に他にこんな離島はないと思うので、是非行ってみてください。
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